第1章 序論

序論の概要:心理学の世界が認知心理学に辿り着くまでの研究評価と批判

W・ヴント

ヒトの内面を科学的手法を用いて研究した近代心理学の創始者である。彼は、この序論でナイサーにより強く批判されている内観主義者である。自身の感情の変化を主観的に捉えて、実験的内観法の研究として発表した。

W・ヴントの研究成果:実験的内観法を用いて、弱い刺激は一般に快の感情を惹起するが、刺激が強くなるにつれて不快に転ずる。と自身の感覚をデータとして示した。

S・フロイト

精神分析学の祖 彼は、心の法則を打ち立てるのに、無意識の世界に探りを入れようと精神分析学を開拓した。臨床家であることから、クライエントとの面接場面で観察された内容から無意識の世界を探求。

S・フロイトの研究成果:心の構造 精神発達理論 左図の無意識に潜むイドの中心的エネルギーがリビドーである。そのリビドーの向かう方向が精神の発達過程を表すとした理論

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J・B・ワトソン

行動主義心理学の祖 彼は、「心理学の対象は行動であり、目標は行動法則の発見であり、方法は実験。」と定義。ヒトの行動は(刺激)S → R(反応)で規定されている。この考えを広く一般的なものにしたのが、彼や、次に紹介する彼の後継者スキナーである。

J・B・ワトソンの研究成果:I・P・パブロフによって発見された「条件反射」を用いて、性格形成における「恐怖」を実験的に研究し、恐怖反応は条件反射によって獲得されるものであることを明らかにした。

B・F・スキナー

行動主義心理学の後継者 彼は、パブロフの条件反射に並ぶ、もう一つの条件付け = オペラント条件付けを発見した。

B・F・スキナーの研究成果:オペラント条件付けによる性格形成 動物の調教や、所謂「アメとムチ」はこのオペラント条件付けの行動理論である。

J・J・ギブソン(とエレノア・ギブソン)

外界は意味を含有して存在するというアフォーダンス理論でヒトの認知を捉えた。

J・J・ギブソン(とエレノア・ギブソン)の研究成果:「アフォーダンス」外界は常に意味情報を蓄えており、ヒトはその情報を探索し、汲み取る能動的な知覚活動を行うことによって、認知につなげる。 ※これまでの行動主義時代はヒトは刺激に反応するだけで、受動的過ぎた理論であった。ギブソンの理論では外界に対してヒトの探索活動は一方的で能動的過ぎた。ヒトと外界には相互に情報刺激の発信・受信が行われているというのがナイサーの理論であり、時間の経過とともにその活動は連続性を持って進んでいく。

J・ピアジェ

認知的発達心理学、構造主義心理学の第一人者 彼は、乳幼児期から青年期までの精神発達過程を研究し、学習理論・認知理論・カウンセリング理論など、あらゆる心理学の発展及び体系化を助けた。

J・ピアジェの研究成果:「保存の概念」コップのジュースを浅いお皿に移し変えると4・5歳児は減ったと思う。 研究成果:「発達段階」認知・学習などに必要な精神発達の段階を研究。

バウワー

ヒトが外界を認識する能力は、これまで考えられていた以上に早い段階で獲得されており、本来的に持っている社会性を主張。

バウワーの研究成果:ヒトは胎児の頃から音が聞こえるほうに選択的注意を払ったり、生まれてきてまもなく、大人の表情筋の活動を模倣する外向的活動が見られる。

D・ブロードベント

(刺激)S → R(反応)理論 行動は刺激から導き出されるものであるという理論は継承したのだが、その刺激に対してヒトは受動的に与えられるだけではなく、より積極的に刺激を選択して受け取る注意の概念を明らかにしようとした研究の先駆け。

G・スパーリング

感覚記憶(感覚情報貯蔵)と言われる、感覚器菅に一時的に保持される記憶を提唱。 この感覚記憶があるからこそ、連続写真を動画のように認識できるのであり、テレビや映画の映像を認識できる記憶の仕組みを主張した。

R・J・スターンバーグ

思考スタイルの重要性を訴える 才能や能力の「ある・ない」ではなく、人間は、それぞれ対応がうまく、才能を発揮できる環境に「向き・不向き」がある…思考にクセがあると考えた。また、早熟な者もいれば、晩成の者もいるように時期によって、能力の発揮できる容量が異なると提唱した。

A・ニューウェル

認知心理学者であり、経営学者・情報科学者でもある人工知能のパイオニア H・A・サイモンと共に、幾つもの意思決定支援システムを構築した。

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